尾去沢鉱山(おさりざわこうざん)
秋田県(あきたけん)鹿角市(かづのし)尾去沢(おさりざわ)
産状
後期 中新世 (1000万年前, 10 Ma)の茂内層の珪質頁岩とデイサイト質火砕岩に 貫入した同時代の安山岩のラコリスに伴う中温熱水鉱脈。 茂内層は、中新世の北鹿カルデラ内の上部の堆積物で、鉱床はカルデラの火山活動に伴って形成された。 北鹿カルデラは、中新世の海底火山と中新世-鮮新世の陸上火山からなる直径20kmのカルデラ複合体。 北鹿カルデラは、少なくとも13個の小規模なカルデラおよび火口を含む。 茂内層は、大館地域の大滝層に相当する。 茂内層は、小真木鉱山や大巻鉱山などの黒鉱型塊状硫化物鉱床を伴う。 火山岩の年代はK-Ar放射年代による。
茂内層の珪質頁岩に伴われる硫化物鉱脈の露頭。中央の淡黄のバンドが、黄鉄鉱を主体とする硫化物の鉱脈。 脈の幅は約50cm。その脈の上下に見えている暗灰色の母岩は、珪質泥岩。 脈の周囲の赤褐色の部分は、鉱脈の酸化によって生じた褐鉄鉱の皮膜。 鉱脈に沿って掘り進むシュリンケージ(shrinkage)法によって採掘された。
産出鉱物
- 黄鉄鉱
- 黄銅鉱
- 閃亜鉛鉱
- 銅
- 重晶石
- 緑鉛鉱
- 硫酸鉛鉱
- 尾去沢石
- 方解石
- 菱マンガン鉱
鉱物組み合わせ
- 石英(脈石) - シャモス石 - 黄銅鉱 - 黄鉄鉱
- 方鉛鉱 - 硫酸鉛鉱 - 尾去沢石
概要
1940年代には、国内屈指の銅鉱山。最盛期には4,500人を雇用。主力は金、銀、銅。
産出金属(第二次世界大戦中)
- 銅: 100,000 t/月
沿革
- 1596年(慶長元年): 金鉱床を発見。
- 1663年(寛文4年): 銅鉱床を発見。
- 1690年代: 銅を採掘。
- 1744年(寛保4年) - 1765年(明和2年): 盛岡の民間人が銅を採掘。
- 1765年(明和2年) - 1868年(慶応4年): 南部藩が銅を採掘。
- 1889年(明治22年): 岩崎家が買収。
- 1892年(明治25年): 西洋式精錬所完成。
- 1918年(大正7年): 三菱鉱業が成立。
- 1978年(昭和58年): 休山。
産地
- 亀山盛鉱山 (銅-鉛-亜鉛)
- 三川鉱山 (銅-鉛-亜鉛, 菱鉄鉱)
- 高見鉱山 (銅-鉛-亜鉛)
- 赤城根鉱山 (銅-鉛-亜鉛)
- 湯ノ沢鉱山 (鉛-亜鉛)
- 奥戸鉱山 (鉛-亜鉛)
- 荒川鉱山 (銅-亜鉛)
- 尾去沢鉱山 (銅-亜鉛)
- 佐山鉱山 (銅-亜鉛)
- 鷲之巣鉱山 (銅-亜鉛)
- 野洲鉱山 (銅)
- 高根山鉱山 (銅-亜鉛-マンガン)
- 河津鉱山 (亜鉛-金-テルル-マンガン)
- 万珠鉱山 (亜鉛)
- 寝姿山 (二酸化マンガン)
- 龍島鉱山 (炭酸マンガン)