神岡鉱山(かみおかこうざん)
岐阜県(ぎふけん)飛騨市(ひだし)神岡町(かみおかちょう)
富山県(とやまけん)富山市(とやまし)奥山(おくのやま)池ノ山(いけのやま)
この産地、特に池ノ山は立入禁止
産状
後期 オルドビス紀から石炭紀, 後期 ペンシルバニアン (4億5000万年-3億年前, 450-300 Ma)の中圧型の飛騨変成作用により グラニュライト相の広域変成を受けた飛騨変成帯中の石灰岩が、後期 三畳紀 (2億2000万年前, 220 Ma)の船津花崗岩 により生成したスカルン。 スカルンに伴う気成鉱床および中温熱水鉱床は、前期 暁新世 (6500万年前, 65Ma)の花崗斑岩岩脈により生成した。 熱水は天水起源で、鉱石鉱物の後背地は飛騨変成岩類および飛騨花崗岩類。 飛騨変成帯は、揚子地塊と中朝地塊の衝突によって生成した変成帯。 中期 三畳紀 (2億4000万年前, 240 Ma)に緑簾石角閃岩相の変成を受けた後、 後期 三畳紀 (2億2000万年前, 220 Ma)に船津花崗岩による緑色片岩相の変成を受けている。 船津花崗岩は、I型(磁鉄鉱系列)。熱源の船津花崗岩までの距離は、3km以下。 硫化物鉱床は、花崗斑岩脈と接している。 変成年代は白雲母のK-ArおよびRb-Sr放射年代、花崗岩の年代はTh-Pb年代とSHRIMP年代による。 灰鉄輝石を主とするスカルン鉱床「杢地」、後期の中温熱水鉱床の「白地」に分けられる。 白地は、杢地の中にレンズ状、脈状をなすか、石灰岩の中に見られる。 この地域に多数の鉱床が密集しているが、まとめて神岡鉱山に統一されている。
鉛・亜鉛鉱床
>>栃洞鉱床:二十五山、擂鉢山を中心に50のレンズ状鉱床からなる。最大の9番鉱床は長径270m、短径60mの楕円筒形をなす。杢地鉱床を主として白地鉱床も伴う。
>>茂住鉱床:現在、カミオカンデとして利用されている。
>>円山鉱床:柘榴石に富み、栃洞鉱床より高温。
>>蛇腹鉱床:灰鉄輝石に富み、灰重石を伴う。栃洞鉱床より高温。
>>漆山鉱床:
>>池の山鉱床:
熱水鉱床
>>下之本鉱床:熱水型の金銀石英脈。
飛騨変成岩中のスカルンの酸化帯の露頭。露頭の褐色の部分が池の山鉱床の酸化帯。
産出鉱物
- 金
- 銀
- 砒素
- 蒼鉛
- 石墨
- 黄鉄鉱
- 黄銅鉱
- 輝銅鉱
- マチルダ鉱
- 方鉛鉱
- 閃亜鉛鉱
- 輝銀鉱
- 硫砒鉄鉱
- 斑銅鉱
- 輝水鉛鉱
- 雑銀鉱
- 濃紅銀鉱
- 黄錫鉱
- 脆銀鉱
- 安四面銅鉱
- 硫カドミウム鉱
- 錫石
- 赤鉄鉱
- チタン鉄鉱
- 赤銅鉱
- 磁鉄鉱
- 蛍石
- 灰重石
- 神岡鉱
- チタン石
- 硫酸鉛鉱
- 魚眼石
- 異極鉱
- 菱亜鉛鉱
- 緑鉛鉱
- ソーコナイト
- 水亜鉛銅鉱
- 藍銅鉱
- 珪孔雀石
- 水亜鉛土
- サーピエ石
- スパング石
- ベゼリ石
- アダム鉱
- ブロシャン鉱
- 方解石
- 白鉛鉱
- デクロワゾー石
- バナジン鉛鉱
- 青鉛鉱
- 孔雀石
- アクチノ閃石
- 透輝石
- 緑簾石
- 単斜桃簾石
- 灰ばん柘榴石
- 灰鉄輝石
- 珪灰鉄鉱
- 不明種
鉱物組み合わせ
- 灰鉄輝石 - 方鉛鉱 - 閃亜鉛鉱
- 灰鉄輝石 - 石英 - 珪灰鉄鉱
- 透輝石 - 斜長石 - 石英 - チタン石
- 褐鉄鉱 - 緑鉛鉱 - アダム石
- 異極鉱
概要
主力は鉛、亜鉛。
沿革
- 700年頃(養老年間): 神岡鉱山付近の高原郷で採取された砂金が朝廷へ献上された。
- 1500年頃(明応年間): 和佐保銀山が採掘開始。
- 1520年頃(大永年間): 茂住銀山が採掘開始。
- 1589年(天正17年): 茂住鉱床を発見。
- 1886年(明治19年): 三井財閥が鉱床群を全て取得し、神岡鉱山に統一、近代化。
- 1892年(明治25年): 銀、銅、鉛の採掘を開始。
- 1906年(明治39年): 亜鉛採掘を開始。
- 1932年(昭和7年): 円山鉱床を発見。
- 2001年(平成13年): 閉山。