中竜鉱山(なかたつこうざん)
福井県(ふくいけん)大野市(おおのし)上大納(かみおおのう)
別名
大平鉱山(おおひらこうざん), 仙翁鉱山(せんのうこうざん), 深坂鉱山(みさかこうざん)
産状
飛騨変成帯中の藤倉谷層の石炭紀, 前期 ミシシッピアン (3億5000万年前, 350 Ma)の石灰岩が、 後期 三畳紀 (2億2000万年前, 220 Ma)の船津花崗岩による接触変成を受けることで生成したスカルン。 スカルンに伴う中温熱水鉱床は後期 白亜紀 (6600万年前, 66 Ma)の石英斑岩岩脈により形成され、 また仙翁鉱床の船津花崗岩中にモリブデンを伴う前期 始新世 (5400万年前, 54 Ma)の高温熱水鉱床が形成されている。 飛騨変成帯は、揚子地塊と中朝地塊の衝突によって生成した変成帯。 飛騨変成帯の岩石は、オルドビス紀から石炭紀 (4億5000万年-3億年前, 450-300 Ma)の中圧型の飛騨変成作用により グラニュライト相の広域変成を受け、 中期 三畳紀 (2億4000万年前, 240 Ma)に緑簾石角閃岩相の変成を受けた後、 後期 三畳紀 (2億2000万年前, 220 Ma)に船津花崗岩による緑色片岩相の変成を受けている。 船津花崗岩と石英斑岩岩脈は、I型(磁鉄鉱系列)。 硫化物鉱床は、石英斑岩岩脈と接している。 石灰岩の年代は珊瑚化石、変成年代はK-ArおよびRb-Sr放射年代、花崗岩の年代はTh-Pb年代とSHRIMP年代、鉱床の年代はK-Ar放射年代による。
産出鉱物
- 方解石
- 磁鉄鉱
- 黄鉄鉱
- 閃亜鉛鉱
- 方鉛鉱
- 硫砒鉄鉱
- 磁硫鉄鉱
- 硫カドミウム鉱
- バスタム石
- 輝水鉛鉱
- 銅藍
- 灰ばん柘榴石
- 珪灰石
- 灰鉄輝石
- 普通角閃石
- モリブデン鉛鉱
- 亜鉛孔雀石
- 珪孔雀石
- ブロシャン銅鉱
- 藍銅鉱
- 異極鉱
- ミメット鉱
- 白鉛鉱
- 針鉄鉱
鉱物組み合わせ
- 方解石 - 珪灰石
- 石英 - 輝水鉛鉱
- 褐鉄鉱 - 異極鉱 - モリブデン鉛鉱
- 閃亜鉛鉱 - 硫カドミウム鉱
概要
主力は、銅、鉛、亜鉛。仙翁谷方面の大平鉱山、仙翁鉱山、および藤倉谷の深坂鉱山を統合して、中竜鉱山となった。
沿革
- 1250年(寛元年間): 中山鉱床、人形鉱床、南仙翁鉱床を発見。
- 1868年(明治元年): 農民の谷口和三郎が再発見、のちに中村と竜田(たつた)が中竜鉱山と改名して共同経営。
- 1894年(明治27年): 銀の採掘を開始。
- 1895年(明治28年): 休山。
- 1904年(明治37年): 深沢鉱山の名称で亜鉛の採掘を開始。
- 1934年(昭和9年): 日本亜鉛工業(株)が商業採掘。
- 1944年(昭和19年): 休山。
- 1951年(昭和26年): 再開(日産150 t)。
- 1956年(昭和31年): 赤岩鉱床発見。
- 1987年(昭和62年): 円高にともない休止。