I型花崗岩
化学過程(液相成長) - 地中閉鎖系(メルト沈澱)
別名
Iタイプ花崗岩, 火成岩起源花崗岩
定義
等粒状組織を持つ火成岩で、珪長質鉱物のうち石英が10-60 vol%、長石のうち斜長石が10-65 vol%のもの。 I型花崗岩は特に、Al2O3 / (Na2O + K2O + CaO) < 1.1。 下にまとめた他の特性は一般的なもので、苦鉄質鉱物の鉱物組み合わせから岩種を予想することはできるが厳密には決まらない。
指標鉱物
普通角閃石, チタン石
変種
花崗斑岩, 石英斑岩
鉱物組成
苦鉄質鉱物 < 30 vol% (珪長質)、珪長質鉱物のうち石英が10-60 vol%、長石のうち斜長石が10-65 vol%。
化学組成
SiO2 > 66 wt% (酸性), Na2O > 3.2 wt%
Al2O3 / (Na2O + K2O + CaO) < 1.1
組織
花崗岩: 等粒状組織で、粒子サイズが数mm以上。
花崗斑岩, 石英斑岩: 粒子サイズが数mm以上の等粒状組織の中に、自形の大きい斑晶が目立つもの。
生成に必要な地質環境
産状
地中でマグマが固結した珪長質(酸性)の深成岩であるI型花崗岩に含まれる造岩鉱物。 バソリスや岩株として大陸に大規模に分布しており、島弧にも多少みられる。 花崗岩は、堆積物の部分溶融により生じたS型花崗岩と、マグマの結晶分化により生じたI型花崗岩、 M-typeの花崗岩類およびA-typeの花崗岩類に分けられている。 I型花崗岩は、副成分として主に磁鉄鉱またはチタン鉄鉱を含むことが多いが、 磁鉄鉱系列のものと、チタン鉄鉱系列のものがある。 また、火成岩起源の普通角閃石を含むゼノリスを含む。 M-typeははんれい岩、A-typeはアルカリ花崗岩にほぼ相当する。 I型花崗岩は酸化的でK,Rb,F,Li,Sn,Beに乏しく、Cu,Pb,Zn,Moなどの硫化物鉱床を伴う。 日本の花崗岩は、ほとんどがI型花崗岩に含まれる。
花崗斑岩や石英斑岩は、岩脈としてみられることもある。
このサイトに記載のある花崗岩の分布。赤はI型またはS型のチタン鉄鉱系列、 青はI型花崗岩の磁鉄鉱系列の花崗岩。
鉱物組み合わせ
石英、カリ長石、斜長石 (灰曹長石), 黒雲母, 苦土普通角閃石, 磁鉄鉱, チタン鉄鉱, チタン石, (輝石, モナズ石, ジルコン, 燐灰石, 硫化物)