鍾乳石
化学過程 (液相成長) - 地上
生成に必要な地質環境
産状
石灰岩の洞窟である鍾乳洞の壁面にできるあられ石と方解石の鍾乳状集合。 天水の反応によって生成した土壌CO2起源の石灰華であるトゥファのうち、 特に鍾乳洞で形成されたもので、天井や床面につらら状や石柱状の特徴的な集合を作る。 床面には、トゥファと同じくタワー、ドーム、マウンド、リムプール、リムストーンなどが見られる。 内部には年輪構造がみられ、その年輪は古気候の解明に利用されている。 中緯度の日本での堆積速度は数十マイクロメートル/年、沖縄など亜熱帯では100マイクロメートル/年程度と見積もられている。 天水への石灰岩の溶解は以下の過程で起きると考えられている。
土壌を通過した天水に、植物根の呼吸や微生物の有機分解による二酸化炭素が取り込まれる。
二酸化炭素に富んだ天水が石灰岩に接触し、CaCO3を溶かし込む。
CaCO3 + H2O + CO2 (土壌) = Ca2+ + 2HCO3-
この反応は、土壌と石灰岩の接触面で最も活発に起き、また天水と石灰岩の接触時間が長いほど進行し、 天水がCaCO3に飽和するまで進行する。
この二酸化炭素とCaイオンを多く含んだ天水からの沈殿は以下の過程で起きると考えられている。
天水より二酸化炭素分圧の低い洞窟内の大気と、天水が接触して二酸化炭素が脱ガスする。 水が地面に滴下する衝撃で脱ガスはより進行する。
天水中の溶存二酸化炭素濃度が低下して次の反応が進む。
HCO3- + H+ = H2CO3 = CO2 (aq) + H2O
この反応により水のpHが上昇し、アルカリ性になると、次の反応により炭酸イオンが生成する。
HCO3- + OH- = CO32- + H2O
炭酸イオンが水中のCaイオンと結合し、方解石またはあられ石が沈殿する。
CO32- + Ca2+ = CaCO3 (方解石)
一般に鍾乳洞の二酸化炭素分圧には季節変動が認められるので、上記の反応により鍾乳石は年輪を形成する。
このサイトに記載のある鍾乳石の分布。
鉱物組み合わせ
方解石、あられ石