苦灰石化
化学過程 (水溶液-岩石反応) - 地表 (海水)
生成に必要な地質環境
産状
苦灰石化作用により生成した苦灰石を主とする堆積物。 主に方解石からなる堆積物である石灰岩に比べて、限られた場所にしか見られない。 ペルム紀-白亜紀およびシルル紀以前に多く、白亜紀以降およびデボン紀-石炭紀には比較的少ない。 成因については、まだ分かっていない。大きく分けて、海水から直接沈殿するという考えと、石灰岩と海水の反応で生成するという考えがある。
海水から直接沈殿する考えでは、1) 海水蒸発岩を生成した残りの高塩分の海水から 直接苦灰石が沈殿するというモデルと、 2) 高塩分の海水からプロトドロマイトが沈殿し、それが変質して苦灰石になるというモデルがある。
石灰岩と海水の反応で生成するという考えでは、3) 地上で生成するモデル、 4) 潮間帯付近で生成するモデル、5) 淡水と海水の混合により生成するモデル、および 6) 海底で生成するモデルがある。 3) 地上で生成するモデル: 周期的に海水が流れ込む環境や塩湖などで海水蒸発岩が形成されたのち、 その残りの高Mg/Ca比の海水がその直下の石灰岩と反応して苦灰石が生成する。 4) 潮間帯付近で生成するモデル: 周期的に海水が流れ込む環境や塩湖などで海水蒸発岩が形成されたのち、 その残りの高Mg/Ca比の海水が地下を経由して海へ流失し、それを補てんするために海水が還流する。この循環のより地下の潮下帯から潮間帯の地下において、 高Mg/Ca比の海水と石灰岩が反応して苦灰石が生成する。 5) 淡水と海水の混合により生成するモデル: 淡水に海水が10-40%混合することで方解石に不飽和で苦灰石に過飽和な溶液ができる。 これが地下水面以深で石灰岩と反応することで、石灰岩の方解石が苦灰石に置換される。 6) 海底で生成するモデル: 低緯度の水深1,000m程度の海水は、方解石に不飽和で苦灰石に過飽和となっている。 このような低温の海水が海山や海台の石灰岩と反応することで、石灰岩の方解石が苦灰石に置換される。