石膏 Gypsum
茨城県日立市宮田町
幅5mm。板状の石膏。 透明な板状結晶が石膏。褐色のベースは褐鉄鉱の皮膜。
緑簾石角閃岩相の変成を受けた別子型塊状硫化物鉱床の天水酸化帯より。 採掘終了後、最近50年以内の生成。
この産地の石膏は、1947年(昭和22年)に初めて記載された。
酸素を含む天水の存在下での鉄バクテリアによる酸化が関係した反応により黄鉄鉱が分解し、 その結果生成した硫酸から石膏が沈澱したと考えることができる。例えば、
[無機反応]
2FeS2 (黄鉄鉱) + 7O2 + 2H2O = 2Fe2+ + 4SO42- + 4H+
[鉄バクテリア]
4Fe2+ + O2 + 4H+ = 4Fe3+ + 2H2O
[無機反応]
FeS2 (黄鉄鉱) + 14Fe3+ + 8H2O = 15Fe2+ + 2SO42- + 16H+
により硫酸が生成し、
CaCO3 (方解石) + CO2 + H2O = Ca2+ + 2HCO3-
により生成したCaイオンと反応することで、
Ca2+ + SO42- = CaSO4 (石膏)
石膏が沈澱する。